「ローランド」と聞くと、シンセサイザーや電子ピアノ、ギターの音を加工するBOSSのエフェクターを思い浮かべます。
人によっては、あの“ローランド様”かもしれません。ここで扱うのは電子楽器の会社です(笑)。
私はローランドを100株保有しています。
買った理由は、売上の9割超を海外で稼ぐ電子楽器事業と、株主へ利益を還元する姿勢です。
ただ、有名な製品があっても、需要が落ちたり買収がうまくいかなかったりすれば、利益は減ります。
2026年8月7日時点では保有継続ですが、楽器の販売数量と採算が戻り、配当を出せる現金を残せるかが気になっています。
海外で売れる電子楽器に期待
一つの製品に頼り切らない

ローランドは売上の90%以上を海外市場で得ています。主要国に販売子会社があり、日本の人口や楽器需要だけに依存しない会社です。
鍵盤楽器、電子ドラムを含む管打楽器、ギター関連機器、シンセサイザーなどを扱っています。
すべてが同時に売れる保証はありませんが、一つの製品だけに頼り切らないところがミソ。
電子楽器は音量を調整でき、住環境の制約を受けにくい特徴があります。ソフトウェアやネット接続で機能を追加しやすく、同じ型番なら個体差も小さいため、ネット販売とも相性があります。
円安は海外売上を円へ換算した金額を増やしますが、それだけを保有理由にはしていません。
為替は逆にも動きますし、海外で売るには関税、物流費、各地域の景気にも対応する必要があります。
購入後のサービスも利益になるか

中期経営計画の「Direct Connect」は、ネットにつながる楽器、Roland Cloud、アプリ、直営店を通じて、購入後も演奏者とつながる構想です。
Roland Cloudは、音色や演奏用ソフトウェアなどを提供するサービスです。
この構想が進めば、楽器の買い替え時に加えて、音色やソフトウェアの利用からも収益を得られます。利用状況を次の製品開発へ生かすことも狙いの一つです。
会員数は増えていますが、グループの利益を支える規模になったかは、2026年8月に確認した公開資料だけでは判断できませんでした。
クルエイチ私は将来性として見ていますが、現在の配当原資としてはまだ心もとないですね。
ブランドがあっても利益は崩れた
4期連続赤字から非上場化
ローランドは4期連続赤字の危機を経て、2014年10月にMBOで非上場化しました。MBOは経営陣が参加する買収です。
製品競争力や経営管理を立て直し、2020年12月に再上場しています。
再建できたことは評価しています。同時に、よく知られたブランドがあっても経営危機は起こるという実例でもあります。



実績は怪しいのが正直な感想。
そのためちょっとでも業績が悪化したら逃げる覚悟は持ってます。
需要の反動で採算が悪化
コロナ禍の在宅需要で売上と利益が増えた後、需要の反動減が長引きました。
2025年の売上は2023年から大きく崩れませんでしたが、営業利益と利益率は下がっています。
売上を保てても、値引き、原価、関税、広告費などが増えれば利益は減ります。売上が戻ったかに加え、売上からどれだけ営業利益を残せたかも気になるところです。
楽器は、家計が苦しくなったときに購入を延期できる商品です。需要の反動だけでなく、景気悪化で買い控えられる可能性も考えています。



世界的な大不況が来て、みんなの生活が苦しくなったら、真っ先に買い控えられます。
「パンを買うか、電子ドラムを買うか」と言われたらパンを買いますよね…。
買収先の立て直しが遅れた
2022年に買収した米国のドラムメーカー、Drum Workshop(DW)社では、市場環境への対応とローランドとの相乗効果が遅れました。
2025年には、買収時に計上した「のれん」の全額を含む減損損失と、繰延税金資産の取り崩しが発生しています。
のれんは、買収価格が買収先の純資産などを上回る部分です。減損は、見込んでいた収益を得にくくなった資産の帳簿上の価値を引き下げる処理を指します。
繰延税金資産は、将来の税負担が軽くなる見込みを会計上の資産にしたもので、その取り崩しも純利益を減らしました。
買収の狙いは、アコースティックドラムと電子ドラムを組み合わせることでした。方向性は理解できますが、計画どおりに進まなかったことは気になります。
DW社の黒字化が遅れたり、別の大型買収で同じ問題を繰り返したりするなら、経営への評価を見直します。
配当を続ける利益と現金があるか


私は2026年3月27日に、100株に対する1株85円の期末配当として8,500円を受け取りました。
2026年の年間配当予想は1株170円で、100株なら17,000円です。後者は会社予想による税引前の試算で、受取済みの金額ではありません。
自己資本を基準にする配当方針
ローランドは2026年から2028年の3年間累計で、連結総還元性向50%を目指しています。総還元性向は、配当と自己株式取得を合わせた額を純利益で割る指標です。
成長投資のために現金を残す場合でも、DOE5.0%を下限目標とする方針です。DOEは年間配当額を連結自己資本で割る指標で、自己資本は株主に帰属する会社の資本を指します。
一年の利益だけを基準にする方針ではありませんが、配当を保証するものでもありません。自己資本が減れば、同じDOEでも配当額は変わります。
一時損失の年にも現金は入った
2025年はDW社の減損などで純利益が減り、配当性向は100%を超えました。一方、営業キャッシュフローは配当金総額を上回っています。
営業キャッシュフローは、事業活動で出入りした現金の収支です。
減損による損失は、その年に同額の現金が出ていったことを意味しません。配当性向だけで即座に危険とは決めず、営業利益と現金の収支を確認したいです。
それでも、営業利益と現金が減り、自己資本も減らしながら配当を続ける状態なら、保有する理由は弱くなります。
- 新製品と価格改定が増収に寄与し、販売数量も営業利益を押し上げた。
- 円安も増収増益を支えた。為替の影響を除いても上期は増えたが、4月から6月の売上の伸びは小さかった。
- 鍵盤楽器、管打楽器、ギター関連機器が伸びる一方、映像音響機器は減収となった。
- 通期の利益・配当予想は据え置いたが、半導体メモリなどの材料コスト増を見込んでいる。
販売の回復は、購入時に期待した動きです。ただ、円安にも支えられています。販売数量と値上げで、材料や関税の負担を補えるかはまだ気になっています。
慎重に持つという考えは変わらない
購入時は、少しでも業績が悪化すれば見直すつもりでした。
この慎重さは残しますが、一度の四半期減益だけで判断せず、新製品の発売時期や楽器市場の波も考えます。
- 為替の影響を除いても販売数量が減り、売上と営業利益率の低下が続く。
- 新製品や価格改定で、原材料高や関税を補えない状態が続く。
- DW社の黒字化が進まず、追加減損や別の大型買収の失敗が重なる。
- 営業キャッシュフローが配当と成長投資を支えられず、自己資本も減り続ける。
- DOE5.0%の下限を含む株主還元方針が変わる、または減配が発表される。
円高も気になる変化です。ただ、円換算の利益を減らす一方、輸入コストを下げる面もあり、製造地域と販売地域の組み合わせで影響は変わります。
海外で売れる製品と、購入後のサービスへの期待は残っています。
ただ、過去の赤字や買収先の失敗を調べると、有名なブランドだけで長く持つ気にはなれません。今は保有を続けますが、販売が戻っても採算が戻らない状態には気をつけたいです。
確認した一次資料
以下は、2026年8月7日時点の判断に使ったローランドの公式資料です。
- ローランドのポジショニング
- ローランドの会社概要
- 代表取締役の異動ならびに取締役および執行役員の人事(予定)
- 業績ハイライト
- 2025年12月期決算説明会資料
- 2026年12月期第1四半期決算短信
- 2026年12月期第2四半期決算短信・決算説明会資料
- 2026年12月期-2028年12月期中期経営計画
- 配当
この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。
掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。
