日本の通信網の中心にいて、政府も3分の1以上を保有している。
NTTは簡単にはなくならない会社だと思い、私は保有しています。
ただし、政府が大株主だから配当まで守られるわけではありません。
全国の通信設備を維持する費用も、IOWNやデータセンターへの成長投資も重い負担です。
2026年8月時点では保有継続。
通信サービスから現金を残し、設備投資と借入、配当を無理なく両立できるかを見ています。
買った理由は潰れにくさ

NTTの固定通信網で真っ先に思い浮かぶのは家庭の電話や光回線かと思います。
普段使いしているので当然ですね。
しかし他にも、企業、行政、金融、災害対応などを支えています。
要するに、日本の通信全般を司っていると言っても過言ではない(…が、真実でもない)です。
通信を完全に止められない社会で、全国規模の設備と運用経験を持つことは強みです。
クルエイチ私の会社は、いまだに新卒社員は電話番してます。
固定電話の受付を交代で担当してますね。
まぁBtoBの会社で且つ社用携帯を全員付与されてるので、固定電話なんてほぼ鳴らないですが・・・
2026年3月期の有価証券報告書では、2026年3月末時点の政府の議決権比率は35.83%です。
現行の日本電信電話株式会社等に関する法律も、政府に発行済株式の3分の1以上を保有するよう定めています。
私はこの公共性と事業基盤を評価して購入しました。
ただし、法律が守るのは現在の資本関係であり、株価や配当ではありません。
政府保有はあくまで安心材料の一つであって、重要なのは事業がどこから利益を生んでいるかです。
利益は電話線一本ではない


NTTを固定電話の会社として見ると、国内通信の成熟だけが目につきます。
実際の利益は、携帯電話、法人向けICT、海外ITサービス、地域通信など複数の事業から生まれています。
ドコモを含む総合ICTが最大
2025年度決算では、総合ICT事業の営業利益は9,421億円でした。
携帯電話のNTTドコモに加え、法人向けサービスやスマートライフ事業を含む、グループ最大の利益源です。
携帯料金の競争や規制はリスクですが、固定電話の減少だけでNTT全体の収益を判断するのも正確ではありません。
ドコモの顧客基盤から通信以外のサービスへ広げられるかを確認します。
地域通信と海外事業も支える
同じ2025年度に、グローバル・ソリューション事業は4,882億円、地域通信事業は3,074億円の営業利益を上げました。
地域通信には全国の設備を維持する重さがあります。
一方、グローバル・ソリューションにはデータセンターや企業のIT支援という成長余地があります。
三つの事業の利益が残っているかを見れば、NTTを一つの通信サービスだけで評価せずに済みます。
政府保有は配当保証ではない


政府が大株主であることは、NTTが社会に不可欠な会社だと考える材料になります。
しかし、株主にとって有利な政策が必ず選ばれるという意味ではありません。
通信を全国で維持すること、災害時に復旧すること、他社へ設備を開放することは、社会には必要でも費用がかかります。
公共性が高いほど、利益だけを優先できない場面もあります。
有価証券報告書には、政府が経営へ直接介入していないことと、法律が将来変更される可能性の両方が記載されています。
私は政府保有を補助的な安心材料とし、保有理由の中心は利益と配当を生む事業に置いています。
全国を支える強さはコストにもなる
NTT東日本とNTT西日本が持つ指定電気通信設備には、他の通信事業者との相互接続や設備利用に関する規制があります。
全国に張り巡らされた設備は競争力の源ですが、自社だけの都合で使える資産ではありません。



ライバルであるKDDIやソフトバンクも、NTTの回線網を一部借りて商売をしているんですよね。
逆に言えばNTTの自己都合で変更等は出来ないということです。
電話のユニバーサルサービス制度も見直されています。
2025年の法改正を受け、2027年5月までに最終保障提供責務へ移る予定です。
制度が変わっても、最後まで通信を支える役割と災害復旧の負担が消えるわけではありません。
私は、全国維持の費用が増え続け、他の事業で吸収できなくなったときは保有理由を見直します。
インフラの強さと維持コストは、切り離さずに確認します。
成長投資が配当余力を削らないか


国内通信が成熟する中、NTTはAIOWN、AI向けインフラ、データセンター、海外法人事業へ投資しています。
成長分野を持つことは必要ですが、構想の大きさだけでは保有理由になりません。
AIOWNとデータセンター
中期経営戦略では、光技術を使うIOWNを基盤に、GPU、ネットワーク、電力を効率よく動かす次世代インフラを掲げています。
データセンターや国内外の法人事業も成長分野です。
会社は2030年度のEBITDAを4兆円へ伸ばす目標を示しています。
実現すれば、国内通信の成熟を補う柱になります。
ただし、技術が優れていても、顧客が増え、利益と現金へ変わるまでには時間がかかります。
2026年度第1四半期決算資料では、チリの銅鉱山やインドのデータセンターでIOWN APNや光電融合デバイスの実証を進め、全国8拠点をつなぐ分散GPUの実証環境も始めたとしています。
構想が実証へ進んでいる点は確認できましたが、利益にどこまで結びつくかはまだ分かりません。
私はAIOWNを将来の上振れ余地として見ています。
あくまで現在の総合ICT、地域通信、グローバル・ソリューションが利益を出していることの方を優先的に見るべきです。



将来のことは誰にも分かりません。
AIOWNが成功するか失敗するかを予測しても、無意味とは言いませんが、調べる労力がリターンに見合わないと考えています。
借入と設備投資
成長には設備投資や買収が必要です。
その資金を借入に頼りすぎれば、利払いと返済が配当余力を圧迫します。
会社資料では、金融事業を除くDebt/EBITDA倍率は2025年度に4.2倍となり、2030年度に3.5倍程度を目指しています。
この倍率が下がらず、利益が伸びないまま投資だけが続くなら注意が必要です。
配当が増えたかだけでなく、利益、設備投資、借入も確認すべきところですね。
増配と成長投資の両方が借金頼みになっていないことが大切です。
- 営業収益は3兆6,177億円で前年同期比10.9%増
- 営業利益は4,251億円で4.9%増、当期利益は2,748億円で5.8%増
- 通期の営業収益15兆600億円、営業利益1兆7,100億円の予想は据え置き
- 年間配当予想も1株5.4円で据え置き
第1四半期は増収増益でした。
ドコモSMTBネット銀行の連結により、資産と負債の見え方も変わっています。
通期予想は据え置きです。
これからも三つの主要事業が利益を残し、投資と配当を同時に支えられるかを見ます。
障害とサイバー攻撃は直接の反証
通信会社は、平常時に動いているだけでは価値を証明できません。
災害、設備故障、サイバー攻撃が起きたときに、止まりにくく、早く復旧できることが重要です。
有価証券報告書は、設備の損傷、長期復旧、燃料や資材の不足、修繕費、損害賠償、信頼低下をリスクに挙げています。
情報セキュリティの説明では、通信経路の多重化や非常用電源、サイバー対策などを示していますが、被害を完全に防げる保証はありません。
2026年度第1四半期決算資料によると、2026年7月28日の熊本地震では最大2市町村でモバイルサービスが中断したものの、7月30日までの約2日で復旧しました。



約1週間前のこともしっかり決算資料に乗っけて来たところはさすがですね。
早期復旧の一例にはなりますが、一度の対応だけで災害への強さを判断できるかは微妙なところ。
次の障害でも同じように復旧できるかを見るべき(ですが、そもそも障害など起きないでほしいですね)。
大規模な障害や情報漏えいが繰り返されれば、「社会に不可欠で信頼できる」という購入理由が崩れます。
復旧の速さ、原因説明、再発防止、損害額まで確認します。
- 全国維持や規制対応の費用が利益を継続的に圧迫する
- 総合ICT、地域通信、グローバル事業の利益がそろって弱くなる
- 成長投資の効果が出ないまま借入負担が増える
- 大規模障害やサイバー被害が繰り返され、信頼と財務が傷む
- 利益と現金で説明できない減配が発表される
連続増配と実質国有の安心感


株主還元の説明では、2025年度の年間配当は1株5.3円、配当性向は42.0%でした。
2026年度は1株5.4円を予想し、実現すれば16期連続の増配です。
連続増配は魅力ですが、将来の配当を約束するものではありません。
利益が伸びないまま配当性向だけが上がるなら、数字の見た目ほど安心できません。
私は600株を保有し、今のところ保有継続です。
購入時に感じた「簡単にはなくならない会社」という強さは残っています。
今後も、複数事業の利益、全国維持の費用、成長投資と借入、障害対応を注視していきます。
その結果として配当を続けられる限り、NTTを保有します。
この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。
掲載した過去の実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。
