INPEX(1605)の保有理由と生産・投資への懸念

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INPEX(1605)を100株保有する理由を、黄金株の利点と限界、イクシスLNG、2020年の資源安、現金と配当の見直し条件から点検します。

エネルギー価格が上がると、ガソリン代や電気代の負担は増えます。
INPEXを買った理由の一つは、その値上がりを、保有資産の追い風にもできると考えたことです。

経済産業大臣が株式を持ち、日本へのエネルギー供給を担う会社である点も評価しました。
ただ、国が関わっていても、利益や配当まで守られるわけではありません。

2026年8月7日時点では100株を保有しています。
気になるのは原油価格だけではなく、生産を続け、販売で得た現金から設備投資と配当を支えられるかです。

目次

エネルギー価格の上昇を保有資産にも

ガス貯蔵施設

INPEXは、国内外で原油と天然ガスを探し、開発・生産・販売する会社です。
エネルギーを使う側には負担になる価格上昇も、生産する会社には販売価格が上がる利点があります。

でも、原油価格と会社の利益は、必ずしも同じ動きにはなりません。
実際に販売した価格も、期中の平均油価と一致しない場合があります。

クルエイチ

海外天然ガスの販売価格の多くは油価に連動しますが、正比例ではないところが注意点ですね。

海外事業が大きいため、円安は円換算の利益を押し上げやすく、円高は押し下げやすくなります。
支出にも外貨建てがあり、生産量、操業費、税金、大型投資によっても利益は変わります。

原油が高くなったというだけで安心せず、売れた量と費用も合わせて考えたい銘柄です。

黄金株が守るのは安定供給

火力発電所の煙突

2025年末時点で、経済産業大臣はINPEXの普通株式の23.74%(自己株式を除く)と、甲種類株式1株を保有しています。
甲種類株式は一般に「黄金株」と呼ばれ、特定の重要事項に拒否権を持つ株式です。

この仕組みは、投機的な買収や外資による経営支配で、日本へのエネルギー安定供給が損なわれることを防ぐために作られました。
大規模な海外資源開発を行う会社にとって、国のエネルギー政策で担う役割が明確なことは、私が評価した点です。

ただ、INPEXは民間企業として自主的に経営判断し、国との間に役員派遣などの支配関係はないと説明しています。
国が損失を補ったり、配当を保証したりする制度ではありません。

会社も、拒否権の行使が会社や普通株主の利益と相反する可能性を開示しています。
エネルギーの安定供給を守ることと、普通株主の利益を優先することは、同じではありません。

イクシスは長期販売と操業リスクの両方がある

横浜港に停泊中のLNG船

オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは、保有理由を考えるうえで外せません。
LNGは、冷やして液体にした天然ガスです。INPEXが操業を担い、日本向けも含む長期の販売契約があります。2018年に生産を始め、設備を使って販売し、現金を得る事業になっています。

会社は、これまで操業してきた経験を、次のLNG開発や既存設備の拡張へ生かす計画です。
一方、大規模な事業なので、設備が止まったり工事が遅れたりしたときの影響も大きくなります。

資源開発は、投資してから生産・販売で資金を回収するまで10年以上かかることもあります。
ガス田が見つかっても、建設費、許認可、販売契約、操業トラブルなどで計画どおりに進むとは限りません。長期契約があることだけでは、投資を回収できるとまでは言えません。

資源安は販売利益と資産価値に響く

上下動の激しい棒グラフ

2020年は、コロナ禍でエネルギー需要が落ち込み、原油価格も大幅に下がりました。
INPEXは複数の事業資産で将来回収できる金額を見直し、大きな減損損失を計上しています。営業利益は残りましたが、最終損益は赤字でした。

減損は、資産から将来回収できる金額が帳簿上の価値を下回るときなどに、資産の価値を切り下げて損失を計上することです。
原油価格の下落は、販売時の利益だけでなく、今後その設備や資源からどれだけ回収できるかにも響きます。

大きな設備や埋蔵量があっても、その分だけ安心できるわけではありません。
生産して売れる価格と、開発に使ったお金を回収できるかの両方が気になります。

配当を支えるのは価格と生産量

増配当株を買う・文字素材

増配の方針にも対象期間がある

INPEXは2025~2027年の中期経営計画で、年90円/株を起点とする累進配当を掲げています。
配当を維持するか増やすという方針で、自己株式取得を含めた総還元性向は50%以上を目指しています。総還元性向は、利益に対して配当と自己株式取得へ回す割合です。

将来にわたって続く保証ではなく、この計画期間の方針です。
資源価格が下がったときにも、営業活動から得る現金で配当と投資を支えられるかが気になります。

株主優待は、毎年12月末時点で400株以上を1年以上継続保有した株主が対象です。

クルエイチ

個人的には優待なんかいらないから、その資金や準備にかかった社員の工数を配当に回してくれ!と思ってしまいます…

優待には、同じ株主番号で6月末と12月末の名簿に400株以上が連続して載る条件もあります。
一旦売却して再INする場合はタイミングも重要です。

原油を高く売れても販売量は減った

2026年上期に見えたこと
  • 中東情勢で原油販売量が減り、会社全体の売上も減った。
  • 販売価格、円安、イクシスの生産が補い、利益は増えた。
  • 通期の利益予想を引き上げ、増配と自己株式取得を発表した。
  • アブダビ事業の通期販売見通しは、5月時点から約3割減った。

2026年8月7日時点の年間配当予想は112円です。
増配は保有を続ける材料ですが、原油価格だけで利益が増えたわけではありません。販売量が減っても価格とイクシスが補えた、という決算でした。

中東情勢が落ち着くことを前提にはせず、原油の販売量が制約されることと、イクシスが生産を続けられることの両方を見たいです。

保有理由を見直す条件

購入時は、原油・エネルギー価格が大きく動いたときに、保有を見直す方針を置きました。
ただ、値上がりや値下がりの大きさだけで決めるつもりはありません。

保有理由を見直す条件
  • イクシスを含む主要プロジェクトで生産量や稼働率の低下が続き、操業コストも上がる。
  • 原油・LNGの実際の販売価格と為替が悪化し、営業キャッシュフローが大きく減る。
  • 新規LNG開発やイクシス拡張の工期・投資額が膨らみ、負債増加や追加減損につながる。
  • 配当と成長投資を現金で支えられず、累進配当または総還元性向50%以上の方針が変わる。
  • 甲種類株式や政府保有をめぐり、普通株主の利益との相反が現実の重要問題になる。

油価が下がっても、安定操業とコスト改善で現金を残せるならOK。
油価が上がっても、生産停止や投資超過で現金が増えないなら評価できません。

配当の金額だけでなく、設備の維持と将来の投資にも現金を残せるかを合わせて考えます。

原油高への期待だけでは持ち続けない

エネルギー価格が上がると、保有資産にも利点があるかもしれない。そう考えた購入理由は残っています。
ただ、国が関わっていることや長期の販売契約があることだけでは、利益や配当を説明できません。

2020年の減損と赤字、2026年上期の販売量減少を見ると、価格、生産量、開発費用のどれも無視できません。
イクシスなどの設備から現金を得て、必要な投資と配当を続けられるかを考えながら保有します。

確認した一次資料

以下は、2026年8月7日時点の判断に使った株式会社INPEXの公式資料です。


この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。

掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。

INPEX(1605)を100株保有する理由を、黄金株の利点と限界、イクシスLNG、2020年の資源安、現金と配当の見直し条件から点検します。

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