みなさん、ガソリン代が高いと「うわぁ…」ってなりますよね。
電気代の明細を見てため息をつくこともあります。
でも、もし自分がエネルギーを「買う側」ではなく「売る側」の株主だったらどうでしょう?
エネルギー価格が上がることが、自分の資産を増やすチャンスに変わるかもしれません。
購入理由には、エネルギー価格が上がる局面を保有資産の追い風にできる可能性と、経済産業大臣が普通株式と甲種類株式を持つ会社であることがありました。
ただし、原油価格が上がれば無条件に利益が増え、国が関わっているから安心できるわけではありません。
原油とLNGを安定して生産し、販売価格と為替の変動を現金へ変え、その現金から投資と配当を続けられるかが重要です。
エネルギー価格の上昇を資産側でも受け止める

INPEXは、国内外で原油と天然ガスの探鉱、開発、生産、販売を行っています。
エネルギー価格が上がると生活や企業活動の負担は増えますが、資源を生産する会社には販売価格上昇の追い風になることがあります。
これが、私がINPEXを保有する理由の一つです。
価格がどちらへ動いても、保有理由を同じ順序で点検できる銘柄として見ています。
原油価格と会社の利益は、必ずしも同じ動きにはなりません。
売上へ反映される価格も、期中の平均油価とは一致しない場合があります。
クルエイチ海外天然ガスの販売価格の多くは油価に連動しますが、正比例ではないところが注意点ですね。
事業の多くは海外にあるため、円安は円換算の利益を押し上げやすく、円高は押し下げやすくなります。
一方で、支出にも外貨建てがあり、生産量、操業費、税金、大型投資も利益を動かします。
黄金株は株主利益の保証ではない


2025年12月31日時点で、経済産業大臣はINPEXの普通株式を276,922,800株、自己株式を除く23.74%保有しています。
さらに、甲種類株式を1株持っています。
一般に黄金株と呼ばれる、特定の重要事項への拒否権を伴う株式です。
この仕組みは、日本へのエネルギー安定供給という役割が、投機的な買収や外資による経営支配で損なわれることを防ぐ目的で作られました。
大規模な海外資源開発を進める会社にとって、国策上の位置づけが明確であることは私が評価した点です。
同時に、会社は民間企業として自主的に経営判断し、国との間に役員派遣などの支配関係はないと説明しています。
国が損失を補填したり、配当を保証したりする制度ではありません。
会社自身も、経済産業大臣による拒否権の行使が、会社や普通株主の利益と相反する可能性をリスクとして開示しています。
黄金株はエネルギー安定供給のための仕組みであり、普通株主の利益を最優先する保証ではないことを忘れてはなりません。
イクシスが生産と現金の土台になる


INPEXの保有理由を考えるうえで、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは外せません。
INPEXは操業を担うオペレーターで、権益比率は67.82%です。
生産能力はLNGが年930万トン、LPGが年約165万トン、コンデンセートがピーク時で日量約10万バレルです。
2018年に生産を始め、LNG年840万トン分の売買契約を結んでいます。
LNGの約7割は日本向けで、日本のLNG輸入量の約1割強に相当します。
長期の販売契約と大規模な生産設備があることで、探鉱だけを続ける段階から、販売して現金を得る事業へ移っています。
会社は、操業を担ってきた経験を次のLNG開発や既存設備の拡張へ生かす計画です。
一方、規模が大きいほど、設備停止や工事の遅れが業績へ与える影響も大きくなります。
資源開発は、投資してから生産・販売で資金を回収するまで10年以上かかることがあります。
新しいガス田を見つけても、建設費の上昇、許認可、販売契約、操業トラブルで計画どおりに進まない可能性があります。
原油価格が下がった年に何が起きたか


2020年は、資源会社の弱点が数字に表れた年でした。
新型コロナウイルス感染症によるエネルギー需要の落ち込みで原油価格が大幅に下がり、INPEXは複数の事業資産で回収可能額を見直しました。
2020年12月期の売上高は7,710億46百万円、営業利益は2,484億71百万円でした。
減損損失は1,899億40百万円に膨らみ、親会社株主に帰属する当期純損失は1,116億99百万円となりました。
原油価格の下落は、販売時の利益を減らすだけでなく、将来その資産から回収できる金額が下がってまとまった減損が出ます。
大きな設備と埋蔵量を持つことが、常に強みとして働くとは限りません。
配当112円と株主優待


INPEXは2025年から2027年の中期経営計画で、年90円/株を起点とする累進配当を掲げています。
自己株式取得も含めた総還元性向は50%以上を目指す方針です。
累進配当は、計画期間中に配当を維持または増やす意思を示す方針です。
ただし、2025年から2027年までの計画であり、将来にわたる長期的な保証ではありません。
資源価格が下がっても、生産と営業キャッシュフローで配当を支えられるかは見ものです。
なお、INPEXは株主優待もあります。
毎年12月末時点で400株以上を1年以上継続保有した株主が対象です。



個人的には優待なんかいらないから、その資金や準備にかかった社員の工数を配当に回してくれ!と思ってしまいます…
優待には、同じ株主番号で6月末と12月末の名簿に400株以上が連続して載る条件もあります。
一旦売却して再INする場合はタイミングも重要です。
- 第2四半期累計の売上収益は1兆4億95百万円で4.6%減、親会社の所有者に帰属する中間利益は2,631億47百万円で17.7%増。
- 中東情勢で原油販売量は22.8%減った一方、海外原油の平均販売価格は1バレル79.51米ドルで8.2%上昇。
- イクシスの利益貢献額は1,730億円で、前年同期の1,390億円から増加。
- 通期の親会社帰属利益予想は5,100億円。年間配当予想は112円へ増額し、1,400億円の自己株式取得を決定。
第2四半期累計は減収増益でした。
中東情勢で原油販売量が減っても、販売価格、円安、イクシスの生産が利益を補いました。
原油価格だけでなく、生産量とプロジェクト別の稼働を見る必要性が、そのまま表れた決算です。
通期利益の上方修正と増配は保有理由を補強します。
一方、アブダビ事業の通期販売見通しは5月時点から約3割減りました。
中東情勢が落ち着くことを前提にせず、販売量の制約とイクシスの安定操業を注視していくことになりそうです。
私が保有理由を見直すとき
購入時は、原油・エネルギー価格が大きく動いたときに保有を見直す方針を置きました。
ただし、値上がりや値下がりの大きさだけでは判断しません。
次の条件が重なるなら、購入時の前提が崩れていないかを調べ直します。
- イクシスを含む主要プロジェクトで生産量や稼働率の低下が続き、操業コストも上がる。
- 原油・LNGの実現販売価格と為替が悪化し、営業キャッシュフローが大きく減る。
- 新規LNG開発やイクシス拡張の工期・投資額が膨らみ、負債増加や追加減損につながる。
- 配当と成長投資を現金で支えられず、累進配当または総還元性向50%以上の方針が変わる。
- 甲種類株式や政府保有をめぐり、普通株主の利益との相反が現実の重要問題になる。
油価が下がっても、安定操業とコスト改善で現金を残せるならOK。
油価が上がっても、生産停止や投資超過で現金が増えないなら評価できません。
配当も同じです。
配当の金額だけでなく、既存設備の維持と将来の投資に必要な現金が残るかまで考えて保有継続の判断が必要です。
油価より生産と現金を追う
私がINPEXを保有する理由は、原油高への期待だけではありません。
エネルギー安定供給で国策上の役割を持ち、イクシスという大規模LNG事業を自ら操業し、そこから投資と配当の原資を作れる点を評価しています。
同時に、黄金株は株主利益を保証しません。
資源価格下落時には減損と赤字が起きます。
大型LNG事業は、安定収入の土台になる一方で、長い開発期間と大きな投資、操業停止のリスクを抱えます。
確認した一次資料
以下の株式会社INPEX公式資料を2026年8月7日に確認しました。
- 株式情報(株式の状況)
- 事業等のリスク
- イクシスLNGプロジェクト及び周辺鉱区
- INPEX Vision 2035
- 株主還元・配当情報
- 株主優待
- 2026年12月期第1四半期決算短信
- 2026年12月期第2四半期決算短信
- 2026年12月期第2四半期決算説明会資料
- 通期連結業績予想の修正
- 中間配当と期末配当予想の修正
- 2025年12月期決算説明会資料
- INPEX統合報告書2020
この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。
掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。
