東京海上HD(8766)は増配だけで持てる? 海外保険と不祥事を点検

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2026年9月4日、東京海上ホールディングスを特定口座で20株買いました。
購入単価は1株8,100円、合計162,000円です。

特定口座を選んだ理由は、2026年のNISA枠はすでに使い切っていたというのが大きいです。
それ以外にも、私はNISA口座ではできるだけ長く持ち続けたい銘柄を買いたいと考えています。
東京海上ホールディングスには増配と海外保険の強さを期待する一方、国内人口の減少、保険業界の不祥事、生命保険の見直しが広がる可能性も気になりました。

そのため、数年後に売る可能性も残して特定口座にしています。

購入時点までの連続増配実績は十分。
あとは海外保険が国内の逆風を補えるか、本業利益と資本余力から配当を出せているかが長期投資判断のカギを握ります。

目次

特定口座で買った理由

交通事故イメージ

東京海上ホールディングスは、生命保険や、災害・事故に備える損害保険を扱う保険グループです。

購入理由は、私の保有銘柄に保険業がなかったことによるセクター分散が大きいです。
ほかに、増配実績と配当利回りも挙げられます。
余剰資金があり、購入直後に予定されていた1株を15株とする株式分割も、購入のきっかけになりました。

一方、NISAで持つほど将来性に確信があったわけではありません。

国内の人口と生産年齢人口が減れば、個人向け保険の加入母数、世帯形成、自動車保有などには長期的な逆風になります。
保険料の調整行為や顧客情報の漏えいをめぐる行政処分もあり、販売現場とガバナンスへの不安も残ります。

「増配しているから永久保有」ではなく、数年かけて見極めが必要な要注意銘柄として扱うつもりです。

国内人口の減少と保険解約の関係

日本の人口と生産年齢人口が長期的に減る方向は、保険会社を見るうえで外せません。

国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では、2070年の総人口は9,000万人を下回ります。
予測値は今後変わり得ますが、国内個人向け保険の加入母数が縮むという方向は無視できません。

クルエイチ

2000年前後生まれの現20代が70歳になる頃、人口は1億人を切っている予測なんですね…

国内個人向け保険には無視できない逆風です。

一部では、若い世代が生命保険を解約し、資産形成へ回す動きを扱った記事も出ています。
ただ、公式調査を確認すると、保険離れが全世代で一様に進んでいるとは言えません。

生命保険文化センターの調査では、生命保険・個人年金保険の世帯加入率は前回調査から大きく変わっていません。
一方、民間生命保険会社の加入率はやや下がり、年代別の動きにはばらつきがあります。

私は、新卒入社時に職場や周囲から加入を勧められる慣行が令和の今でも残っていて、若い世代の加入率を下支えしている面もあると感じています。
学校で金融教育を受けた世代が社会人になるなかで、民間保険の加入率、死亡保障額、解約や減額の理由がどう変わるかが重要な目線になりそうです。

東京海上は国内生保だけの会社ではない

東京海上グループと聞くと、東京海上日動あんしん生命を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
CMなどでよく見聞きする名前であることは確かですよね。

クルエイチ

あ~んし~ん生命♪
っていう独特のフレーズが耳に残るCMですね

人口減少を考えるとき、東京海上グループ全体と国内生命保険を分ける必要があります。

直近の会社計画では、東京海上グループの利益の中心は海外保険です。
国内でも、生命保険より損害保険の利益が大きい構成になっています。

海外保険があることで、国内人口減少の影響を分散できます。
北米を中心とするスペシャルティ保険では、国内とは異なる市場で成長できます。

ただし、海外であっても自然災害、保険引受の失敗、為替、買収先の管理というリスクを抱えます。

海外保険が最大の利益源であり続けるか、保険引受利益とコンバインド・レシオが数年単位で悪化していないかが今後追うべき情報の中心になります。

事故が減る時代に「事後補償」だけで成長できるか

私がもう一つ気にしているのは、自動運転や衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の普及です。

AEBSは、衝突のおそれを検知して警報を出し、必要に応じて自動でブレーキを作動させる仕組みです。
国土交通省は、性能が向上したAEBS搭載車では、非搭載車と比べて追突などの事故が約6割減ったというデータを紹介しています。
新車への搭載義務も段階的に広がっています。

事故が減ることは社会にとって望ましい一方、自動車保険の保険料収入には縮小圧力になります。
東京海上ホールディングス自身も、自動運転技術の進展により自動車保険市場は緩やかに縮小すると見込んでいます。

ただ、保険会社の利益がすぐに減ると決まったわけではありません。

安全性能の向上で事故の頻度が下がれば、支払う保険金も減ります。
一方、センサーやカメラなどの部品が高額になり、1件当たりの修理費は上がります。
会社は、保有車両がすべて新車へ入れ替わるには15年以上かかるとしており、変化は急ではないと説明しています。

完全自動運転に近づけば、リスクが消えるのではなく、運転者から自動車メーカー、ソフトウェア事業者、遠隔監視事業者へ移ります。
製造物責任、サイバー攻撃、システム障害に備える保険や、事故時の責任関係を整理して被害者を早く救済する役割は残ります。

東京海上日動は、通信型ドライブレコーダーを使う「ドライブエージェント パーソナル」で安全運転支援を提供しています。
グループとしても、東京海上スマートモビリティや防災・減災事業を通じ、保険金を支払うだけでなく、事故や災害の事前・事後領域へ事業を広げています。

そのため、「事後補償から事前予防へまったく動けていない」と評価するのは適切ではありません。

それでも、私の懸念がなくなったわけではありません。
事故を減らすサービスが社会貢献にとどまらず、顧客が対価を払う事業として育つかは別の問題だからです。

個人的には、自動車保険市場が縮小する前に、事故データと予防サービスを新しい収益へつなげられなければ、国内損保の成長は難しくなると考えています。
事故頻度、1件当たり保険金、テレマティクスの普及に加え、スマートモビリティや予防事業がどこまで利益へ貢献するかを見ます。

不祥事の本質は売り方の問題

東京海上日動火災保険は、2023年12月に保険料の調整行為をめぐり、2025年3月には代理店チャネルにおける顧客情報等の不適切な共有・漏えいをめぐり、金融庁から業務改善命令を受けました。

一件ごとの費用も重要ですが、それ以上に売り方の問題が大きな懸念点かなと思っています。

代理店への出向者をどう管理するか、営業目標が顧客保護より優先されていないか、取締役会が問題を把握して改善できるかという、保険の売り方と組織文化の問題です。

保険は、事故や病気が起きたときに契約どおり支払われるという信頼で成り立ちます。
同じ種類の問題が繰り返されれば、ブランドと販売チャネルの両方を傷めます。

行政処分が出たことだけで直ちに売却はしません。
ただ、改善が進まず、同種の不祥事が続く場合は、業績に表れる前でも保有理由を見直します。

15分割は買うきっかけにすぎない

購入直後、東京海上ホールディングスは1株を15株に分割しました。
私の20株は、分割後に300株になります。

分割後の保有株数なら、当時発表された株主優待の株数要件を満たします。
ただし、継続保有の条件があり、制度自体も将来変わる可能性があります。

分割で会社の利益が増えるわけではありません。
優待も、本業が弱くなれば長く続くとは限りません。

私にとって分割と優待は購入のきっかけであり、保有を続ける根拠は利益と配当余力です。

連続増配を本業利益と資本余力から読み解く

購入時点で、東京海上ホールディングスには長い連続増配実績がありました。

会社は株主還元の基本を配当とし、IFRS修正純利益の3年平均を基礎に、配当性向50%を目安としています。
政策株式の売却益を、今後の配当原資となる事業利益から除く方針も示しました。

この考え方は、毎年の自然災害や為替で利益が振れやすい保険会社に合っています。
単年の好決算だけで配当を大きく動かさず、本業利益の数年平均で判断できるからです。

資本余力を見るESRも、購入時点では会社のターゲット水準を十分に上回っていました。
自己株式取得や大規模災害の後も余力を保てているかを確認します。

増配を点検する四つの軸
  • 海外保険と国内損保の保険引受利益
  • 損害率と事業費率を合わせたコンバインド・レシオ
  • 3年平均のIFRS修正純利益と配当性向
  • 自己株式取得後のESR

購入時点では増配と自己株式取得を両立できる余力がありました。
ただし、ESRが高いことは、将来の利益や配当を保証しません。
巨大災害や金融市場の混乱が重なれば、資本は減ります。

数年後に売る可能性を残す

現在の判断は保有継続です。
国内人口減少だけで東京海上グループ全体の成長を否定せず、海外保険と国内損保が利益を補えるかを確認します。

一方、NISAの永久保有候補として買ったわけではありません。
次の状態が続けば、数年後の売却を検討します。

保有理由を見直す条件
  • グループ修正純利益または保険引受利益が数年連続で下がる。
  • 海外保険が国内の停滞を補えず、コンバインド・レシオも継続的に悪化する。
  • 自動車保険市場の縮小に対して、事故予防・テレマティクス・スマートモビリティを収益事業へ育てられない。
  • 増配を配当性向の上昇や一過性の資産売却に頼り、ESRがターゲット水準へ近づく。
  • 業務改善が進まず、同種の不祥事や顧客保護上の問題が繰り返される。
  • 減配、または配当方針の大きな変更がある。

長い連続増配実績は魅力です。しかし、過去に続いたことと、これから続くことは別です。

特定口座を選んだことで、長期目線で業績を見ながら、前提が崩れたときは売却する余地を残せました。
分割後の株数や優待より、海外保険の補完力、予防サービスへの転換、本業利益、資本余力、不祥事対応を追っていきます。

確認した一次資料

以下の公表資料を2026年9月20日に確認しました。


この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。

掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。

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