36期連続増配。
花王を買った理由として、この記録が大きかったのは事実です。
でも、連続増配の年数と、次の増配を支える余力は別の話。
利益が落ちても記録を守れば、配当性向は上がり、事業や設備へ回す余裕が減る可能性があります。
2026年8月4日時点では保有継続。
株価や増配回数より、配当性向、営業キャッシュフロー、一時要因を除いた利益が残っているかを見ています。
連続増配は記録であって将来保証ではない

花王は2025年12月期に1株154円を配当し、36期連続増配となりました。
会社は、安定的に生み出すキャッシュフローを戦略投資や設備投資へ使いながら、安定的・継続的に増配する方針を掲げています。
実際に私は、2025年12月期の期末配当として、2026年3月27日に1株77円で合計7,700円を受け取りました。
長く増配してきた実績は、配当を重視してきた会社の姿勢を示します。
一方、将来の利益や現金まで保証するものではないところには注意が必要です。
利益が落ちた年にも配当を増やせば、連続記録は伸びますが会社の将来性は危うくなります。
増配回数と増配余力のバランスを見極めねばなりません。
利益が落ちても増配した年がある

2023年12月期。
この年の1株当たり利益は94.37円、年間配当は150円で、配当性向は158.9%です。
配当性向は、利益のうち何%を配当に回したかを見る指標なので、100%を超えると、その年の会計上の利益だけでは配当を賄えていない計算になります。
クルエイチその年の会計上の利益だけでは配当を賄えていない…
赤字を貯金切り崩して補填してる、みたいなイメージですね🤔
ただし、配当性向158.9%が本業の力の衰えと判断するのも正確ではありません。
2023年は減損や人員構成の見直しなど、構造改革による影響が546億71百万円ありました。
この影響を除くコアの1株当たり利益は184.95円です。
一時費用を除けば、150円の配当に対して利益の余地はありました。
それでも、報告利益が落ちた年に増配を続けた事実は残ります。
この年から得られる判断軸は、配当性向が高いかどうかだけではありません。
高くなった理由が、一時費用なのか、本業の収益低下なのかを分けます。
現金まで見ることが重要


会計上の利益には、現金が同時に出入りしない評価損益や一時費用も含まれます。
配当を実際に支払うには現金が必要なので、営業キャッシュフローも確認します。
- 2026年中間期の売上高は8,719億円、営業利益は958億円、親会社帰属利益は657億円。
- 土地売却益115億円を除く営業利益は843億円で、前年中間期から151億円増えた。
- 営業キャッシュフローは553億円で、中間期の支払配当349億円を上回った。
- 通期予想は分割後EPS149.21円、年間配当78円。私の200株では15,600円の見込み。
2025年は、営業キャッシュフローが配当総額を上回りました。
2026年中間期も、営業キャッシュフローは支払配当を上回っています。
全額を配当に回せるわけではありませんが、購入時に評価した利益・現金・財務の余力は、この時点では保たれています。



私の取得額665,000円に対する2026年予想配当利回りは約2.35%。
高配当だけを目的にするなら、正直足を引っ張る形ではあります。
「増益率」をそのまま受け取らない
増益という言葉も、一時的な利益で増えたのか、商品を売る本業が伸びたのかは要確認。
次の年に残る力が違うからです。
一時利益を除く
2026年中間期の営業利益は958億円で、前年中間期から266億円増えました。
ただし、この中には物流拠点の最適化に伴う土地売却益115億円が含まれます。
会社資料では、土地売却益を除く営業利益は843億円です。
前年中間期の692億円から151億円増えており、売却益だけで増益を説明する状態ではありません。



増益率は概算指標。
一時利益を除いてどの事業が伸びたかを見る必要があります。
価格転嫁の遅れ


ケミカル事業(※)は第2四半期に価格改定の効果が出て、中間期の営業利益は181億円と前年同期より37億円増えました。
実質売上高は1.8%増で、数量等が1.8%減る一方、価格は3.6%上がっています。
化学物質や素材を開発・製造し、自動車、電子、医薬品、日用品などの幅広い産業へ提供する事業のこと。
これは第1四半期に見えた価格転嫁の遅れを、ひとまず挽回した形です。
ただし、原材料の調達価格は在庫、生産、販売を経て2〜3か月遅れて損益へ影響します。
多数の商品とブランドがあっても、原材料高をすぐ価格へ転嫁できるとは限りません。
中間期の海外売上高比率は45.4%です。
第2四半期は中国が20%を超える伸長で海外事業を牽引した一方、為替を除く売上はアジアが3.2%増、米州が1.2%増、欧州が3.6%減でした。
海外へ伸ばせる余地がある一方、地域ごとに需要は違います。
海外売上の割合ではなく、売上と利益が一緒に増えているかを見ます。
私が保有理由を見直すとき
3月に含み損が約9%まで広がったことは、花王を調べ直すきっかけになりました。
ただ、株価下落だけでは売却検討はしません。
事業と配当の前提が崩れたかどうかが判断材料です。





利益と現金の余力が弱くなったのに、増配記録を守るなら売却検討。
長期投資の視点では、配当金は据え置きで良いです。
配当負担が重くなる場面は長期投資視点では危険。
- 本業の利益が落ち、配当性向が高い状態が続く。
- 営業キャッシュフローが細り、配当と必要な投資を支えにくくなる。
- 原材料高を価格へ反映できず、利益率の低下が続く。
- 為替や海外市場の悪化が、一時的な売上減ではなく収益力の低下につながる。
一度の四半期で機械的に売るわけではありません。
利益が落ちた理由と回復策を確認し、一時要因と本業の悪化を分けます。
連続増配は余力とセットで見る
花王を買った理由は、連続増配の回数だけではありません。
多数の商品が利益と現金を生み、国内外へ販売し、その余力から配当を増やす流れを評価しています。
2023年の配当性向158.9%は、一時費用と本業を分ける必要を示しました。
2026年中間期の増益も、土地売却益を除く843億円まで分けて見る必要があります。
現在の判断は保有継続です。
決算が更新されても、配当性向、営業キャッシュフロー、一時要因を除く利益、価格転嫁という確認順序は変えません。
確認した一次資料
以下の花王株式会社公式資料を2026年8月5日に確認しました。
- 株主還元方針
- 2025年12月期決算短信
- 2026年12月期第1四半期決算短信
- 2026年12月期第1四半期決算説明資料
- 2026年12月期第2四半期決算短信
- 2026年12月期第2四半期決算説明資料
- 2023年12月期決算短信
- 株式分割及び定款の一部変更に関するお知らせ
- 近年の花王のあゆみ
- 投資家情報・IRカレンダー
この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。
掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。
