高齢者が増えれば、介護の需要もなくならない。ケア21を買ったときは、かなり単純にそう考えていました。
私は100株を保有しています。
調べ直して分かったのは、介護需要があっても、ケア21の施設が埋まり、利益を出せるとは限らないことです。高価格帯の施設を閉じる判断で、大きな損失も出ました。
2026年8月4日時点では保有継続です。ただ、17円配当が続いていることより、施設の入居が進んで利益と現金が増えるかを気にしています。
介護需要と施設の採算は別物

高齢化が進む日本で、介護の需要はなくなりにくい。この購入時の見方は、今も変わっていません。
ただ、施設には介護職員の人件費、光熱費、建物や設備の維持費がかかります。入居者が少なくても、その費用をすぐに減らせるわけではありません。
価格帯や立地、競合、利用者の希望が合わなければ、需要のある業界でも赤字になります。
反対に、既存施設の入居が進めば、新しい建物を増やさずに売上を伸ばせます。固定的にかかる費用を賄いやすくなるためです。
ケア21の中間期決算でも、施設系事業の稼働率向上と費用の見直しが、利益の改善要因でした。稼働率は、施設の定員に対して入居している人の割合です。
クルエイチ見るべきなのは、高齢者人口の予測より、既存施設が埋まって売上が営業利益へつながっているかですね。
南青山の閉鎖で購入理由を疑い直す
介護付有料老人ホーム「プレザンリュクス南青山」は、2022年7月に高価格帯の施設として開設されました。
近隣に競合施設があり、想定した需要を確保できず、会社は2026年9月末で閉じることを決めました。これは、8月4日に確認した時点の閉鎖予定です。
中間期には、閉鎖に伴う費用を特別損失として計上しました。特別損失は、通常の事業活動の損益とは区別して計上する損失です。
一つの施設の閉鎖に関する費用でも、会社にとって小さな負担だったとは考えていません。
介護需要があることだけでは、施設の成功を説明できませんでした。会社の想定が外れ、価格帯や競合に対応し切れなかったことは気になります。
施設を閉じれば、将来の赤字を止められる場合もあります。ただ、ほかの施設でも閉鎖や減損が続くなら、個別の失敗として済ませにくくなります。減損は、資産から期待していた収益を得にくくなったときに、帳簿上の価値を引き下げる処理です。



この施設閉鎖を通じて、購入時の「事業が急になくなりにくい」という考えは残しつつ、「需要があるから施設も安泰」という考えは直しました。
営業利益が戻っても配当の負担は残る


同額配当が続いてきたことは評価
ケア21は2022年10月期から2025年10月期まで、年間17円を配当しました。事業の展開や経営の強化に必要なお金を残しながら、安定的に利益を還元する方針です。
実際に100株で1,700円を受け取れたことは、私の保有理由として残ります。ただ、数年にわたり増配も減配もないことを、安定と見るか、成長が乏しいと見るかは意見が分かれるところかと。
営業利益は黒字でも最終損益は赤字
中間期は、前年中間期の営業赤字から黒字へ改善しました。一方、南青山の閉鎖損失を計上したため、最終損益は赤字でした。
営業利益は、通常の事業活動で得た利益です。閉鎖費用なども含む最終損益とは、示す内容が違います。最終赤字だけで、施設運営の利益まで悪化したとは決めません。
- 既存施設の稼働率が上がり、営業利益は改善した。
- 営業キャッシュフローはプラスだが、前年中間期より減った。
- 自己資本比率は前期末より下がった。
- 年間配当予想は、通期の1株当たり利益予想を上回る。
利益と現金は同じように増えていない
営業キャッシュフローは、事業活動で出入りした現金の収支です。営業利益が増えても、支払いと回収の時期などで動きが異なります。
この中間期は、営業利益が改善する一方、営業キャッシュフローは前年中間期より減りました。自己資本比率も下がっています。自己資本比率は、総資産に占める自己資本の割合です。
2026年10月期の年間配当予想17円に対し、通期の1株当たり利益予想は3.69円です。
会社予想による税引前の配当試算は、100株で年間1,700円です。過去に受け取った実績とは区別します。
一時的な閉鎖費用で利益が減る年ですが、利益の予想を上回る配当を計画しています。施設運営に必要なお金を残しながら、この配当を続けられるかには不安が残ります。
施設の失敗と本業の悪化が重なるなら見直す
一度の最終赤字や、一つの施設閉鎖だけで機械的に売るわけではありません。私が見直すのは、施設運営の失敗と、本業の利益・現金収支の悪化が重なる場面です。
- 稼働率が改善しても、営業利益や営業キャッシュフローが増えない。
- 閉鎖や減損が複数の施設で繰り返される。
- 人件費や光熱費の増加を吸収できず、本業の赤字が続く。
- 現金と自己資本の余力が弱まり、配当の負担が残る。
- 年間配当の変更が、施設の収益力低下と同時に起きる。
配当が変わったかだけでなく、その前に施設の稼働率、利益、現金収支のどこが悪くなったかを確かめます。条件が重なるなら、介護需要が続くことだけでは持ち続ける理由になりません。
購入時には、介護需要と17円配当を主に見ていました。南青山の閉鎖を調べ、需要がある業界でも、施設の運営は失敗すると分かりました。
今は保有を続けますが、入居が進むことと、利益や現金が増えることの両方が気になっています。
確認した一次資料
以下は、2026年8月4日時点の判断に使ったケア21の公式資料です。
- 2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信
- 業績予想数値との差異と特別損失および通期業績予想の修正
- 剰余金の配当(中間配当)に関するお知らせ
- プレザンリュクス南青山の閉鎖に関するお知らせ
- 2025年10月期決算短信
- 2023年10月期決算短信
この記事は、私自身の投資記録と判断過程をまとめたもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。株式は価格下落による元本割れの可能性があり、配当も将来にわたって保証されるものではありません。
掲載した過去の実績や試算は、将来の運用成果を保証するものではありません。
